おとなになるぞ

頑張らず頑張りたい

答辞

退学生挨拶


柔らかな春の風に包まれ、今にも咲きそうな桜のつぼみのもと、私は、6年間を過ごした○○高校定時制課程Ⅰ.Ⅱ部をめでたく退学致します。


不登校3段、黒帯として、日々不登校に励み鍛錬を重ね、精神的な瓦を割り続け、時に瓦で殴り殴られこうして退学式を迎えられた事を心から喜ばしく思っております。


嘘です。本当は私は卒業したかったです。学校に通える人間になりたかったです。

高認受験、高かったです。高認を使っての大学受験も高かったです。文科省の対応も遅かったです。手続きもひたすら煩雑でした。

文科省に高校中退なんかおらんくせに、あれで生涯学習推進だなんてちゃんちゃらおかしい笑わせんなと思いました。


学校に行けない日に、結局心身休める事なんて全然出来ないのに、病気で死にかけたりしてるのに、学校からも、学校に行ける人からもサボってると扱われるの悔しかったです。

学校に行けなくても明日は行けると思って毎日鞄に教科書を詰めていました。


教科書を詰めなくなって、天気予報を見なくなった時、私は本当に人生終わったんだと思いました。

大人しくしていた頃、何も言わないから、何も考えてない感じてないと扱われるのも悔しかったです。

美容院で、大学生か社会人だと嘘をついて、もうその美容院を使えないと思って転々とするのも恥ずかしかったです。

自分の中では全然笑い話じゃないのに、笑わないと話せない自分の事もダサくて嫌いでした。

なにより友人や後輩の進級や卒業を心から祝えない自分の事が毎年本当に嫌いでした。


社会は学校を卒業した人で構成されてると教わっていたから、私は社会を構成する一員にはなれないと呪ったりもしました。


ですが、本当はそんな事もないと、学校に行ってない時間に沢山の人から教えてもらいました。

学校に行ってない人も社会を構成しているし、生きているし、憧れられる人も居るし、私に

「社会に出てやっていけない」

と圧をかけた先生は、全然社会を知らなかったし、ただ運が良かっただけのお坊ちゃんでした。

おい聞いてんのかトンガリクックお前の事やぞ。


それでも世の中で生きていてもなかなか報われないので、もう報われるの待ってられない報ってくれと、こうして退学式をひらめき、声を上げて、沢山の人に手伝って頂き、企画挙行し、そして今日こんなに沢山の方にお越し頂けた自分の事は少し良いなと思っています。

皆様本当にお越し頂きありがとうございます。


この6年間で出会って良かったと思える人と退学式という自給自足、自作自演のマッチポンプパーティでご一緒出来て、とても嬉しいです。

この6年間で私が自殺も他殺もしなかったのは、皆様と出会えたからです。この場を借りてお礼を言わせてください。

本当にありがとうございました。


1度目の退学時は、祝おうだなんて思えませんでした。退学理由に自己都合、一身上の理由と書かされた時、この場で校長の前歯でも叩き折って退学処分の方がまだマシだと思いました。

あの時はクラスメイトにも学校にも社会にも家族にも自分にも止めどない呪いしかありませんでした。


だけど今は、生き延びた自分と○○と**くんと皆様に本当に感謝と祝福の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。

皆様おめでとうございます。


令和2年、3月20日